日々の進捗

本条さんが読んだり遊んだりしたもののメモ

歌集『にず』(田宮智美)・1

  • ちょっと前まで、まだここに記録していない、ラブラブい歌集を読んでいたのだけど、途中からぱたっと「入ってこない」感じになってしまったので、中断してこちらを先に。

  • 今回は、最初~P57まで。

  • テンションは低めなんだけど、妙に行動力のあるような、なんだか心地よい……というか、心になじむ感じがする歌集。
    そして、好きな歌が多い。付箋がどんどん付いてゆく。

  • 詠われている内容は、震災のこと、淡い恋、転職、妹の結婚、など。生活に即した歌が多く、私小説や日記のような手触りもある。

  • 震災に関する歌からは、「避難所生活は経験したものの、身近な死を経験しているわけではない、被災者のくくりからは弾かれている自分」みたいな意識を感じる。
    こういう、「自分も震災の被害者なんだけど、もっと切実に大変な思いをしている知り合いを目の辺りにして、なにか後ろめたい」みたいなもの、近江瞬さんの歌集『飛び散れ、水たち』などにも共通する感覚だと思う。

 

仮住まいだと思うから暮らせてる 繋ぎと思って仕事もできてる(P7)

「たすけて」と言えれば会えたかもしれぬ夜に一人で過ごす避難所(P14)

梅干しを漬けんと母が購いし氷砂糖を祖母と舐めたり(P40)