- ある日のTwitterのTLに、歌人・野樹かずみさんの呟きが流れてきた。
それは、「去年亡くなった歌人、蝦名泰洋さんの歌集を出版したい」というプロジェクト(クラウドファンディング)の募集のお知らせだった。
何気なくリンク先の詳細ページに飛んで、紹介されていた蝦名泰洋さんの短歌を拝読する。
……ああ。この歌集はほしい。
その場で迷わずプロジェクトに参加した。
というのが、去年末頃のできごと。 - 今年6月、みんなの熱い想いで待望の歌集『ニューヨークの唇』(蝦名泰洋)が出来上がった。やったー!うちにも届いたー!(クラファンのリターンとして)
更に、時を遡ることひとつきほどだっただろうか、実はもうひとつ嬉しいリターンが届いていたのだ。
それが、こちらの『短歌両吟 第7集 カイエ』。
今回は、P42まで読みました、の記録。 - 「両吟」の厳密な定義はそのうち調べなきゃなんだけど、ざっくり「二人で交互に短歌を詠んで、連歌を作っていく」ということなのだと思う。
「いちごつみ」(相手の歌のワードを一語引き継いで歌を作る)ほど明確なルールはなく、たぶんテーマ詠のような、連想ゲームのような、そんな試み。 - こういった「複数人で作り上げていく短歌や連歌」というのは、個人の歌集とはまたちがった「よさ」がある。感情と感情の相乗効果だったり、「そうきたかー」という展開の妙であったり、行間から滲む信頼感であったり。
- なので、以下のように単独で作品を引用してしまうと、この冊子の魅力が伝わりきらないかもしれない。
とはいえ、この冊子の「よさ」を少しでも伝えたい、できれば『ニューヨークの唇』の方もぜひ、そして、両氏による両吟は『クアドラプル プレイ』という本にもなっているのでそちらも読みたいという自分用メモも兼ねておこう、そんな気持ちで、読書記録をつけておく。
明日ゆきのガラスの時刻表を消せ子がさよならを覚える前に(蝦名泰洋) P6
お婆さんが花の奴隷になったので花が咲くさびしかった庭にも(野樹かずみ) P22